「災害時はワンオペ」ママへ。防災初心者むけ”買わない子連れ防災”の始め方

【注意】この記事には地震の体験が含まれています。
- 災害が起きたら、私ひとりで子どもとどうすれば…
- 高いリュックやグッズを買わないとだめ?
- 完璧じゃなくていいなら、今からでも何かしたい

こんな方にお届けする内容です。
警察官の夫と結婚して約10年、1児の母の私からお話しします。
災害が起きたとき、
「夫は現場へ向かい、私と子どもだけで避難するかもしれない」
想像して、不安になったことはありませんか?
私の夫は警察官。
能登半島地震の際、夫が被災地に派遣されるかもしれない状況に。
結果的に派遣はされませんでしたが、それをきっかけに防災を考え始めました。
この記事では、防災初心者だった私が実際にやってよかった、“買わない子連れ防災”の始め方を紹介します。
コツは、「買わなくてもできる」「少しずつできる」ことから。
「私にもできそう」と思ってもらえたら嬉しいです。
娘を抱いて机の下に潜り込んだ、能登半島地震の瞬間
「ブワッ ブワッ ブワッ――『地震です!地震です!』」
リビングでのんびりしていた2024年の元旦、スマホの警戒音が突如鳴り響きました。
私は5歳の娘を抱え、ダイニングテーブルの下に滑り込み、続いて夫も。
息をひそめた瞬間、グラグラグラ…!
緊張して、ひたすら娘に
「大丈夫よ、大丈夫だよ~」
としか言えませんでした。
私たちの地域では震度はそれほど大きくなかったものの、怖くてしばらくは体が警戒状態。
夫はすぐテレビをつけ、私たちは被害の深刻さに言葉を失ったのです。
災害が起きたら、夫は出勤になるかも
「僕、能登に派遣になるかも」

(電話)
はい、はい。わかりました。

仕事の電話?

うん。
僕、能登に派遣になるかもって。

え?

僕たちの班から、何人か派遣されることになったんだ。

決まったら教えてね。
結局夫は選ばれず、派遣はされませんでした。
でも、
「災害が起きたら、夫は現地に行く可能性がある」
そんな現実を見せられた瞬間でした。
災害が起きたら、私と娘だけで避難?
夫を含め警察官は、住んでいる地域で大きな災害が起きたら、高確率で出勤します。

被害状況をチェックしながら出勤して、様子を報告するんだよ。

出勤そのものに、大切な意味があるのね。
つまり災害が起きたら、私は娘と2人きりになる。
避難だって、私一人で判断し、動かないといけないのです。
「夜になったら夫と合流できる」とも限らない。
いつ夫が戻れるかもわからない。
警察官の妻として覚悟はしていたけれど、やっぱり不安になりました。
備えゼロに、さすがに危機感
正直なところ、当時の我が家は防災対策をほとんどしていませんでした。
防災リュック1つすら、準備していなかったのです。
「準備するなら、完璧じゃなきゃ。大変そう…」
「災害が起こらなかったら使わないし、もったいない」
と思っていたんですよね。
でももし家が危険な場所になって、すぐに離れることになったら――
1人では避難に必要な荷物を集めることも、ままならないかもしれない…。
子どもがいなかった頃は「自分ひとりなら何とかなる」と思っていたけれど、今は5歳の娘がいる。
この子を守るには、防災対策はもう、先延ばしにしてはいけない。
そう思うようになったんです。
お金をかけず、できることから始めた
まず思いついたのは防災リュック。
ネットでもいろいろ売っていますよね。
以前から知ってはいましたが、本音を言うと、

1万~2万くらいする…結構高いかも。
そう思って、なかなか買う気になれなかったんです。
今回もやっぱり同じ気持ちに。
でもここで何も動かなければ、また防災対策ゼロのまま!
そこで、“あまりお金をかけず、できることから始めよう”と決めました。
ここからは、防災初心者だった私でも無理なく続けられている、「なるべく買わない」「今日からできる」4つの方法をご紹介します。
【スマホだけ】「171(災害用伝言ダイヤル)」を試してみた
声の伝言板「171」なら、連絡を取りやすい
「災害のとき、夫と連絡がとれなかったら…」
それが一番怖いと思って、まず試したのが「171(災害用伝言ダイヤル)」です。
みなさんは大きな災害のあと、「電話やLINEがつながらない」って困ったこと、ありませんか?
その原因は主に2つ。
- みんなが一気に使って、回線が混雑
- 基地局の被害や停電で、電波が届かない
でも「171」なら、つながりやすいんです。
一般の電話回線とは別の専用システムを使っているから。
電話が混んでもネットが不安定でも、つながりやすい
もしものときのために、知っておくと安心ですね◎

「171」は災害時の強力な連絡手段です。
操作は簡単。スマホでOK
「171」にダイヤルして、音声ガイダンスのとおりに操作・録音するだけ。
- スマホで「171」にダイヤル
- 「1:伝言を録音」を選ぶ
- 電話番号を入力
- ピーッの音で録音スタート
再生も「171 → 2:再生」でOKです。

思ったよりシンプルでしたよ。
使ってみて気づいた注意点
録音そのものは簡単でしたが、次のような注意点がありました。
- 夫婦で共有しておくことが大事
- お互い171を使うことを知らなければ意味がない
- 録音に使う電話番号を決めておく
- 私たちは夫の番号にしました
- メッセージは30秒まで
- 「名前・どこにいる・誰と・無事か・次の伝言時間予定」を簡潔に

練習されるときは、意識してみて下さいね!
「体験利用日」に試してみた
災害時でなくても、誰でも試せる日があります。
- 毎月1日・15日(終日)
- 正月三が日(終日)
- 防災週間(8/30〜9/5 9~17時)
- 防災とボランティア週間(1/15〜1/21 9~17時)
いざというときは、思った以上に焦るもの。
何度かやっておくとスムーズに使えました!
【歩くだけ】避難所まで娘と歩いてみた
最寄りの小学校が避難所ですが、娘と一緒に実際に歩いたのは1度きりでした。
天気のいい日、改めて避難所まで娘と歩いてみると――思ったより時間がかかると痛感!
大人なら20分の道が、子連れだと35分!
バッタを見つけて立ち止まったり、猫じゃらしで遊んだり。
そして小さな川があるので、「水害の危険があったら、迂回がいるかも」という気づきも。
真夏日だったこともあり、私も娘も汗びっしょり。
そのときはスポーツドリンクを持って行きましたが、
「防災リュックには水だし…」
と思い、塩タブレットを防災リュックに追加しました。
- 想像より遠かった
- 水害時は迂回がいる
- 夏は熱中症対策がいる
「一度歩くだけ」でも立派な防災。
道具もお金も不要の、すぐできる備えです。

実際に歩いてみて初めて分かること、意外と多かったです!
【遊び感覚で】「地震がきた!」ごっこをやってみた
我が家の練習法
地震アラートを鳴らして「地震きたよー!」
→ 玄関まで走って、ダンゴムシポーズをとる練習をしています。
アラート音はYouTubeにありました。
能登半島地震の時は、とっさに机の下に逃げましたが、構造上、家の中で安全性が高いのって玄関なんですって。
- 構造的に頑丈
- ガラス窓や家具が少ない
- 外への避難もすぐできる
参考:東京ガス ウチコト
私と娘は1階で過ごして寝ているので、今は「玄関を目指す」よう練習中です。
- 遊び感覚だから、怖がらずに身につく
- 「どの道を通って逃げるか」判断力が育つ
- いざというとき、反射的に動けるようになる
- 防災意識を自然に持たせられる
子どもは遊びから学ぶもの。
防災も、遊びながらでいいですよね。
アラートは周囲の人に配慮して
ちょっと失敗がありまして。
夫のお風呂中に、娘と初練習したのですが、いつの間にか脱衣所に出ていた夫に「本物?訓練?」と尋ねられてしまいました。

本物のアラートかと思って焦ったよ。
パンイチだったし…。

ほ、本当にごめん!!
皆さんも気を付けてください…笑。
【使ってないバッグに】避難セットを入れてみた
防災リュックを準備していなかった我が家。
能登半島地震のあと、私は急いでなんとなく避難セットを作ってみました。
とりあえず私が入れたもの
- ウェットティッシュ
- 私と子どもの着替え1セット
- レトルトカレー(大人用・子ども用)
- コーンフレーク
- トイレットペーパー1巻き(ティッシュにもなる)
- 軍手
- タオル(ボロくなりかけ)
- 予備に買っていた歯ブラシ
- 余っていた懐中電灯
- ビニール袋
- チャック付きの袋
- 家族構成と連絡先のメモ(夫の勤め先も)
どれも家にあったものばかりです。
かき集めると、こんなにも揃うんですね。
翌日に、母子手帳のコピーを足しました。

母子手帳は小学校入学前までは持ち歩くと良いと聞いていたので、コンビニでコピーしましたよ。
お金をかけたのはここだけです。

備えゼロよりは、ずっといいと思いませんか?
マザーズリュックを再利用
「何に入れよう?」
と考えて思いついたのが、使わなくなったマザーズリュック。
これがポケットも沢山あるし、大容量だし、なにより使い慣れているし、ちょうど良かったのでお勧めです!

思い出もあるし捨てづらかったので、再利用できてラッキー!
楽に始めるポイント
こうすればハードルが低く、面倒くさがりな私でも準備できましたよ。
- 家にあるものでOK。買う必要なし
- 夫の分は「自分で用意してね」と声かけだけ
やってみて良かったこと
「なんとなく避難セット」をベースに、気づいた時に中身を入れ替えたり、追加したりするようになりました。
置き場所も玄関なので目につきやすく、存在を忘れることもありません。
季節が変わったら洋服を入れ替えて、サイズアウトしないようにしたり、食料品の消費期限をチェックしたり。
ゆるく続けて1年半たった今、気づけば「ちゃんとした防災リュック」に近づいています。
「買うなら、これがいい」が見えてきた
最初は、売ってる防災リュックって
「高いな…」「本当にこんなにいるのかな?」
と思ってたんです。
でも自分で用意してみたら、だんだん中身が増えて、今では薄いショルダーバッグも併用中。
すると、セットで売っている防災リュックを見ても、
「これくらい揃ってて当然だったのかも」
「自分で一つずつ買うより便利だし、コンパクトだな」
と思うようになったんですよね。
おすすめ防災リュック
いろいろ調べて、「買うならこれが良さそう」と思った防災リュックを2つ紹介します↓

子どもはこれから大きくなるので、買うなら2人用と考えています。
おすすめ① 評価と口コミ◎
- 評価
- 2人用防災リュックで、口コミ最多
- 口コミ2,460件中、★1はゼロ
- あって良かった、なくて困ったものが厳選
- 衣服などを入れる空きスペースあり
- 保存食の味にこだわり
- 防災士監修
被災者の方の声をもとに、中身が厳選されているのが良いですね!
リュックは赤or青どちらか1つで、中身は2人分です。
口コミを紹介しますね(一部抜粋)。

過去に用意したことも無く、何が必要なのか全く不透明でしたが、必要最低限は揃えていただいているとの内容で、試しに、ではないですが購入しました。
第一印象は、思ってたより充実してるな、でした。

一から揃えようとしても何からと考えるし、またバラバラに購入するとお値段も貼るのでこちらを購入してよかったと思います。

リュックも大容量でまだまだ入りそうなので着替えなども入れて備えておきたいです。
届くまで3ヵ月待ったという口コミもあったので、早めの購入が良さそうですね。
とにかく口コミと評価を重視して、安心して選びたい人
おすすめ② インテリアになじんで、ママに嬉しい工夫も
もう一つはこちらです。
- 評価
- デザインがシンプル
- 胸ベルトで肩紐がずり落ちにくい
- エアーマットつき
- 衣服などを入れる空きスペースあり
- ママ防災士監修
「災害が無くても、日常使いできるリュック」なのがポイント!
防災グッズはポーチなどで保管しておけば、リュックは普段使いできるんです。
胸のベルトがあれば子どもの手を引いたり抱っこがしやすいし、エアーマットがあると固い床でも子どもと快適に眠れます。

日中も、子どもって上に乗ってくるので、床が硬いと辛いんですよね笑。
ママ防災士さんが監修されているだけあって、ママに嬉しい点がたっぷりですね。
口コミを紹介します(一部抜粋)。

玄関に置きましたがインテリアに馴染んできにならないです!
買って良かったです!

エアーマットが入っている――別で買うと結構高いが、避難所で寝ることを考えると絶対に必要。
正直白いリュックは汚れやすいだろうなーと思っていたので、グレーでホッとしました。白シャツの女性が背負っている写真が一番近いかも。
ファスナーの開きが良い。絶対焦ってると思うので、こういう些細な点が大事です。

2人分だけあって少し重く不安でしたが背負うとベルトが太めでしっかりしており、さほど重さは感じませんでした。
リュックにも工夫がされており全開になったり、ポケットも多く、ベルトのバックルに笛もあり、キャリーもつけれるようになっていました!
色は「ベージュ寄りのホワイト」「グレー」という口コミがありました。
完全ホワイトでない点にご注意くださいね。
「普段使わないし買うのはもったいない」と後回しにしている人
見える場所に置きたいので、インテリアを邪魔したくない人

私はesoraのシンプルリュックにして、夫のは青色の一人分にしてもいいな…と考えています♪
※商品情報は2025.8時点のものです
おわりに|まずは、ひとつだけでいい
「防災」と聞くと、“完璧に備えなきゃ”と思ってしまう方も多いかもしれません。
実際に私もなんだか面倒そうで、最初の一歩が踏み出せませんでした。
そんな私でも、たった1つやってみたら、意識と行動がかわっていったんです。
私の場合は「171を試す」でしたが、ひとつやると、もうひとつやってみようかなと思える。
今では防災意識も準備も強くなり、自分と子どもを守る力になっています。
- 災害用伝言ダイヤル「171」を体験
- 子どもと一緒に避難所まで歩いてみる
- “ごっこ遊び”で避難訓練
- 使っていないバッグで“なんとなく避難セット”を作る
警察官の夫に、
「何かあっても私と子どもは大丈夫」
と安心してもらうのも、妻の務めなんだと思います。
あなたも、「まずひとつだけ」始めてみませんか?